神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2021.08.30

日本語考察【色の話】

日本語考察【色の話】

今回は、日本語の【色】の語源について考えます。


赤、青、白、黒、黄、緑、など、色々な色があります。
日本語がどうやって生まれ、そして発展してきたのかを考察する場合、それぞれの色がどの順番で生まれたのか。
また、どのようにして色の名前が決められたのか。
それを考えることで、大昔の日本語について考えてみたいと思います。



【ごく初期からある色】
「赤」と「黒」

赤色と黒色は、日本語において、ごく初期に生まれた色だと考えられます。
また、この2色は対をなします。


①あか(赤色)は「開く」から。
赤色の「あか」は、「開く」が語源と思われます。

(夜が)明ける、あかり、明るい
などと、同じグループに属すると想像できます。


光が当たっている状態を表現する言葉が、夕焼けで染まる赤色をさすようになったと考えて良いと思います。

日本語考察【色の話】







②くろ(黒色)は、「暮れる」から。
「赤色」が「明ける」から生まれた言葉であるのに対して、「黒色」は、「暮れる」から生まれた言葉と推定できます。

暮れる、暗い、黒、
これらは、同じグループの単語だと思われます。




日本語考察【色の話】








「白黒つける」というように、日本語では「白」と「黒」が反対語のように使われる場面が多くあります。
しかし、白黒がセットになるのは、相撲などの勝負事の取り組み表における、白星(負けの印)と黒星(勝ちの印)に由来する言い回しだと想像できます。

日本語考察【色の話】








本来は、明るいの「あか」に対して、暗いの「くろ」が2つ1組のセットだと思います。



では、「しろ」は、どのようにして生まれたのでしょう。




③「しろ」には、「身代わり」などの何かの「代わり」、
また、何かを載せたり置いたりする「空きスペース」の意味がああります。




「しろ」が「身代わり」の意味として使われるのは、「身代金」です。
また、「しろ」が「空きスペース」の意味で使われるのは、何かと何かをくっ付ける時に使う「のり」を塗るスペースを意味する「のりしろ」です。
陰陽道などの「かたしろ」や「よりしろ」なども同じ意味だと思われます。



日本語考察【色の話】







このように見てみると、「しろ」は、積極的に色を表すのではなく、「空いたスペース」を意味する単語だったと考えられます。




このように、「あか」「くろ」「しろ」は、単語が誕生した当時は色そのものをさしたのではなく、
それぞれが「明るい」「暗い」「空きスペース」を指す単語だったと考えられます。

太古の日本語において、色の概念が存在しなかった時期から存在していた単語だとすれば、この「あか」「くろ」「しろ」は、日本語では最も古い色だと考えて良いと思います。

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