2021.11.17
※※※※
この記事は、歯科医師求職者向けです
※※※※
医療法人社団ありせファミリー歯科ブログにようこそ。院長の同前です。
今回は、破折したファイルを除去した症例についてご紹介します。
今回の記事でご紹介するのは、60代後半の方で、前医にて右下臼歯部のブリッジを装着済みの方のやり直しが必要になったケースです。
まず、こちらがパノラマエックス線写真からトリミングした画像です。
ブリッジ装着から10年以上経過しているそうです。
それを考慮すると、根管充填が甘いようにも見られますが、前医の治療はおおむね成功していると判断して良いと思われます。
しかし、やはり気になるのは、ブリッジ支台の右下第二大臼歯の根管内に根管充填材が充分に見られないこと、そして根尖付近の歯槽骨の吸収です。
長期間にわたり、無症状であるため、当院では、当初は経過観察(現状維持)としていました。
しかし、こうした慢性病巣はあるとき突然、急性化することがあります。
今回も、最近になって右下の奥歯が痛みが出始め、全く食事がかめなくなりました。
口腔内所見では、右下第二大臼歯の打診時の激しい痛み、頬側歯肉の腫脹が認められました。
そのため、まずは保存的治療を試みるために、ブリッジの除去および根管治療を開始しました。
遠心根管は、ほぼ手付かずの未治療の状態だったので、簡単に拡大終了しましたが、近心根管は、ファイルの破折残存が認められました。
こちらが除去したファイル片です。
除去後のデンタルレントゲン写真がこちら
遠心根管は、拡大完了してビタペックス貼薬ずみ、近心根管はファイル除去状態です。
その後、症状消退、ブリッジセット後の経過も現在のところ良好です。
ファイルが折れ込んでいると思われる根管でも、ほとんどが無症状の経過をたどるため、あえて除去することで歯根破折のリスクをおかす必要はないと思われます。
しかし、もしもなんらかの症状が生じて、再治療が必要となった場合には、破折ファイルの除去ができなければ抜歯の可能性は高くなります。
「出来るだけ歯を抜かない治療」を目指す私たち歯科医師にとっては、是非ともマスターしておきたいテクニックの一つです。