神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2021.09.01

日本語のはなし【たま】

日本語のはなし【たま】

日本語では、「たま」と言えば「大切なもの」という意味と、「丸い形」という意味の、主に2つの意味があります。




「たま」を漢字で書くと「玉」または、「球」です。
しかし、中国語では、「玉」は翡翠(ひすい)のことで、丸い形の意味はありません。

日本語のはなし【たま】

中国語では、丸い形は「球」という字で表します。




こうして考えてみると、日本語で「大切なもの」や「宝物」は、大昔では「丸い形」をしていたと考えられます。




日本に漢字が伝わった際に、翡翠(ひすい)を意味する「玉」という漢字を「たま」と読むことにした事を考えれば、奈良時代あたりでは、「丸い形」をした「宝物」は、「翡翠(ひすい)」製だったと考えられます。
当然、縄文時代や弥生時代から日本で作られていた「まがたま」がそれに当てはまります。

日本語のはなし【たま】

古代の日本語では、まず丸いものを「たま」と呼んでいました。
そして、縄文時代に作られるようになった「まがたま」が由来となり、「たま」に「宝物」の意味が追加されるようになったものと考えられます。





では、次に考えてみたいのが、「たましい」という言葉です。

なぜ、古代の日本語を使っていた人たちは、「たましい」を表現するのに、「たま」の言葉を使ったのでしょうか。

それは、当時の人たちは、「たましい」が「まるい形」をしていると考えていた証拠だと思います。






ここで疑問が生じます。
【疑問①】「たましい」なぜ「まるい」のか。
【疑問②】「しい」とは、なんのことなのか。



疑問①
縄文時代か、それよりももっと昔から、日本人は「たましい」を「まるい形」と考えていました。
目に見えないものに対して、形で表現する事を不思議に感じます。

ちなみに、英語で「たましい」を意味するスピリット(spirit)は、「息」を語源にしているそうです。

また、中国語の魂(コン)は、文字通り、人智を超えた存在の「鬼」に由来するようです。


それに対して日本語で「たましい」が丸い形をしていると古代の人がなぜ考えたのか、不思議ですね。




疑問②
「しい」とは、なんのことなのか。
ネット検索してみましたが、「たましい」の「しい」は、意味が判明していないようです。





そこで、たましいの「しい」の意味を私も考えてみました。


日本語には、省略の法則があります。
また、語尾が伸びる変形も見られます。


私が推理したのは、
「たま」+「?」+「し」
の「?」の部分にもともとあった字が省略されている状態の可能性です。


たとえば、「はだし」では、
「はだ」+「あ」+「し」
の「あ」が省略されています。
また、「明石(あかし)」は、
「あか」+「い」+「し」
の「い」が省略されています。


他にも、「わたし」では、
「わた」+「く」+「し」
の「く」が省略されています。




さて、「たましい」ですが、
「まがたま」が「たましい」を表現していると仮定して、推理してみました。


「まがたま」を【石製の玉】と見ると、
「たまいし」
「たま」+「い」+「し」
の「い」が省略された形として
「たまし」




また、「まがたま」を
【足のある玉】と見ると、
「たま」+「あ」+「し」
の「あ」が省略された形として
「たまし」



それでも、「たまし」と「たましい」では、最後の「い」がまだ説明できていません。

しかし、日本語では、時代が下がると語尾が伸びることはよくあります。
たとえば、古語では「うつくし」が、現代では「うつくしい」となります。

「たまし」の語尾が伸びて、「たましい」になった可能性もあるかも知れません。





現代の私たちにとって、宝物である丸いものといえば、「地球」がまず思い浮かびます。


日本語のはなし【たま】

ちなみに古事記では、オオクニヌシ別名の一つとして、「うつくしくにたまのかみ(美し国玉の神)」というものが紹介されています。

「美しい国のたましい」という意味にも解釈できますが、
「美しい国の球」という解釈もできます。

もしかしたら、オオクニヌシの時代には、当時の日本人たちは、地球が丸いということを知っていたのかも知れません。


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