2024.09.23
今回は、日本神話における太陽神であり、最高神の「アマテラス」の話題です。
太陽神といえば、世界中にいろんな神様が存在しますが、日本の太陽神である「アマテラス」は、世界各地の他の太陽神に比較しても、かなり特殊な能力があると、私は感じます。
アマテラスの最大の能力とは、「晴らす」ことです。現代科学の知識では当たり前のことですが、「水」は、温度が高くなると気体(水蒸気)になります。また、温度が変わらなくても、高圧力を加えることで、気体(水蒸気)になります。
「晴らす」とは、「膨らませる」「膨張させる」と言う意味もあります。「晴らす」とは、「太陽の熱エネルギーによって、天空の雲を限りなく膨張させ、目に見えない小さな粒子、分子レベルまで分解することだといえます。
水分を蒸発させて、文字通り「霧散」することが、日本の太陽神「アマテラス」の最大の能力ですが、「晴らす」のは、水分だけではありません。
アマテラスが「晴らす」ことができるのは、「嫌な気持ち」「悲しい気持ち」「辛い気持ち」「憂鬱な気分」などです。アマテラスの最大の能力は、マイナスの感情や心情を明るく「晴らす」ことです。
その能力が、「アマテラス」が日本神話で最高神の地位にいる理由となっています。
日本神話の太陽神の役割は、「明るく照らす」こと、「暖める」こと、そして「晴らす」ことです。
「晴れる」といえば、私たちの意志に関係なく、自然に空が晴れるという意味になります。それに対して「晴らす」というのは、自らの意思によって、「晴れ」させることを意味します。
そして、この、「晴らす」ということができるのは、この世に存在するもののなかで、太陽だけ、太陽そのものである「アマテラス」だけです。
「晴らす」神様、それが「アマテラス」です。
「嫌なこと」「嫌な気持ち」が解決するときも、日本語では「晴らす」「晴れる」と言う使い方をします。
「気が晴れる」「気晴らし」などと言う言い回しは日常的によく耳にします。
「ハレバレした気持ち」「晴れがましい」「晴れの舞台」と言う言い方もあります。
日本語の世界において、はるか大昔に、【みんなが悲しい気持ちを吹き飛ばして、明るい気持ちになれるように】
その願いをこめて作られたのが、「アマテラス」という神様です。
そして、日本神話の世界、言い換えると日本語を共有する人々の世界において、「アマテラス」は最高の神様の地位を与えられています。
また、日本の国旗である「日の丸」は、太陽をデザインしたものだというのが一般的な解釈です。
「アマテラス」の太陽神としての役割について、思いを巡らせて考えると、この「日の丸」は、
【みんなの悲しい気持ちを吹き飛ばして、晴れ晴れした明るい気分で過ごせるように】
そんな願いが込められているようなデザインにも、また感じられるような気がします。
日本神話に詳しい人は、この文章を読んで、ある他の神様のことを思い出したかも知れません。「瀬織津姫(せおりつひめ)」という神様は、日本中の神社で最も重要な儀式の一つである「大祓(おおはらえ)」に必要な神様です。この世のすべての罪と汚れを水の力で洗い流して、はるか彼方の大海原に運んで溶かしてくれる神様です。
「アマテラス」とは、方法は違うものの、実際にやっていることは良く似ています。