

2026.01.13

「子供の歯並びがガタガタしてきました。
このままで大丈夫でしょうか」
歯科医院で、とてもよく聞く質問です。
でも、まず知っておいてほしいことがあります。
子供の歯並びは、一時的に悪く見えるのが普通です。
これは「気にしなくていい」という意味ではありません。
成長のしくみとして、そうなっているという話です。
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歯が生えかわる時期に起きること
子供の歯は、
乳歯 → 永久歯
へと生えかわります。
このとき、
☆ 歯が重なって見える
☆ すき間があく
☆ 前歯が外に向く
といったことが起こります。
歯医者では、これを
「アグリーダックリングステージ」
(みにくいアヒルの子の時期)と呼びます。

見た目は心配になりますが、
体が大人になる途中で、よく起こる現象です。
歯が先に生えて、
あごの成長があとから追いつく。
このズレが、歯並びの乱れに見えるだけです。
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すぐ治した方がいいの?
答えは、
**「場合による」**です。
すべての子に、
今すぐ治療が必要なわけではありません。
大切なのは、
☆ 今は治さなくていい理由があるか
☆ きちんと様子を見ているか
ということです。
何もしない=放っておく
ではありません。
ちゃんと見て、必要な時を待つ
これも立派な医療です。
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医療には2つの考え方がある

ここで、少し大事な話をします。
医療の考え方には、
大きく分けて2つあります。
① 不安モデル
最初に不安を強く伝える考え方です。
☆ 「今やらないと大変です」
☆ 「あとでは間に合いません」
☆ 「放っておくと悪くなります」
こう言われると、
多くの人は「すぐやろう」と思います。
この方法は、
☆ 治療が早く始まる
☆ 通院が続きやすい
☆ 医院の負担が少ない
という特徴があります。
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② 安心モデル
もう一つは、安心を大切にする考え方です。
☆ 今は待ってもよい理由
☆ 成長の流れ
☆ 治療する場合としない場合の違い
を、時間をかけて説明します。
この方法は、
☆ 相談に時間がかかる
☆ 夜間や急な対応が必要
☆ 何もしないで待つのは勇気が必要
という大変さがあります。
でも、
長い目で見ると、安全なことが多い
という特徴もあります。
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子供の歯並びは、不安になりやすい
歯並びは、
☆ 見た目ですぐ分かる
☆ 親の責任を感じやすい
☆ 将来を心配しやすい
ため、不安モデルととても相性が良い分野です。
でも、
成長の途中の姿を「問題」と決めつけていないか
一度考えることが大切です。
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本当に見るべきポイント

歯並びだけでなく、
次のことも大切です。
☆ 口ではなく鼻で呼吸できているか
☆ よく噛んで食べているか
☆ 姿勢は悪くないか
☆ 痛みや困っていることはないか
歯並びは「結果」です。
原因は、生活のしかたや成長の環境にあります。
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まとめ
子供の歯並びは、
一時的に悪く見えるのが普通です。
大事なのは、
☆ 不安だけで決めない
☆ 成長のしくみを知る
☆ 必要な時に、必要なことをする
という考え方です。
子供の成長は、
こわがらせて進めるものではありません。
ゆっくり、
正しく、
見守る。
それが、
親にとっては、一番大変で難しいことなのかもしれません。
しかし、それは同時に、子供にとっては一番安全で、大切なことなのかも知れません。