神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2026.01.14

若手ドクターへ ― 不安モデルと安心モデル、そのどちらを選ぶのか ―

若手ドクターへ  ― 不安モデルと安心モデル、そのどちらを選ぶのか ―

【今回のブログは、同業者の歯科医師向け、特に新人歯科医師向けの内容です】


医療の現場に立つと、
誰もが一度は感じることがあります。

「この説明で、本当に良いのだろうか」
「自分は、患者さんに何を与えているのだろうか」

若手ドクターの多くが、
技術や知識を習得する以前に、
この問いの前で立ち止まります。



⬛︎医療には、二つのモデルが存在する

医療の提供の仕方は、
大きく分けると二つのモデルに分類できます。

ここでは便宜的に、
**「不安モデル」と「安心モデル」**と呼びます。

これは善悪の話ではありません。
構造の違いの話です。



⬛︎不安モデルとは何か

不安モデルとは、
来院された方に対して、
将来への不安を強く意識させることで、

☆ 「今すぐ何かをしなければならない」
☆ 「この医院に通い続けなければならない」

という心理状態を作り、
結果として来院頻度や依存度を高める
ビジネスモデルです。

医師と患者という関係性の中では、トリガーとなる1〜2つの言葉があれば、
初対面の患者であったとしても、
不安は簡単に生まれてしまいます。

使われる言葉自体は、
必ずしも嘘ではありません。

しかし、
不安を起点として医療が進行する
という点に、このモデルの本質があります。

このモデルは、

☆ 運営コストを抑えやすい
☆ 治療提案が通りやすい
☆ ネット評価が上がりやすい

という、合理的な側面を否定できません。



⬛︎安心モデルとは何か

若手ドクターへ  ― 不安モデルと安心モデル、そのどちらを選ぶのか ―

一方、安心モデルは、
不安を煽ることを意図的に避けます。

☆ 今は治療しなくてもよい理由
☆ 経過観察という選択肢
☆ 介入しないリスクと、介入するリスク

これらを同時に説明し、
患者さん自身が理解した上で
判断できる状態を作ることを重視します。

ただし、
安心は、言葉だけでは成立しません。

どれだけ丁寧に説明しても、
一度の診療、一度の会話だけで
本当の安心が生まれることはありません。

安心は、

☆ 時間
☆ 継続した行動
☆ 繰り返される誠実な対応

その積み重ねによって、
はじめて形になります。



⬛︎安心モデル=年中無休・夜間診療、ではない

ここで一つ、
大切な補足をしておきたいと思います。

安心モデルは、
年中無休や夜間診療を行っていなければ
成立しないわけではありません。

実際、
診療時間を適切に限定しながらも、

☆ 丁寧な説明
☆ 無理な治療提案をしない姿勢
☆ 長期的な信頼関係

によって、
安心モデルを実践している医院は
数多く存在します。

安心モデルとは、
「時間帯」や「営業時間」の話ではなく、
患者さんとの向き合い方の話です。



⬛︎ありせファミリー歯科の選択

若手ドクターへ  ― 不安モデルと安心モデル、そのどちらを選ぶのか ―

ありせファミリー歯科は、
その中でも一つの形として、

☆ 年中無休
☆ 夜9時まで診療
☆ 救急対応も可能な体制

を選択してきました。

これは、
安心モデルの唯一の正解ではありません。

ありせファミリー歯科が選んだ、
数ある安心モデルの中の一つの形です。

地域の方が
「困ったときに頼れる場所であること」
を重視した結果、
この体制に至りました。

そしてこの体制は、
言葉だけで作れる安心ではなく、
長い年月と、日々の行動の積み重ねによって
ようやく維持されているものです。



⬛︎正直に言えば、簡単な道ではない

この形の安心モデルは、
決して楽な道ではありません。

☆ スタッフへの負担
☆ 経営上の不安
☆ 理不尽なクレーム

そのすべてを、
現場で引き受ける覚悟が必要です。

私自身、
「本当にこれで続けられるのか」
と悩んだ時期が何度もありました。



⬛︎それでも、17年間続いているという事実

若手ドクターへ  ― 不安モデルと安心モデル、そのどちらを選ぶのか ―

ありせファミリー歯科は、
17年間、継続しています。

これは理念の話ではなく、
一つの
「生存可能で、継続可能な安心モデルの形」が
実際に存在している
という事実です。

不安を売らなくても、
医療は続けられる。

安心は、
時間と行動によってしか作れない。

その前提に立った上で、
どの形を選ぶかは、
医院ごとに違ってよい。



⬛︎若手ドクターへ

どちらを選ぶかは、
若手ドクター一人ひとりの意思が
最大限尊重されるべきです。

不安モデルを選ぶことを、
私は否定しません。

ただ一つ、
安心モデルという選択肢があることを、
最初から除外しないでほしい。

そして、
安心モデルにも
多様な形がある
ということを、
ぜひ知ってほしいのです。

「綺麗事だけで生きていく」

それは、
簡単ではありません。
しかし、
言葉ではなく行動で示し続ける
という意味において、
とても勇敢な選択肢でもあります。



⬛︎最後に

医療は、
技術や知識だけではありません。

どんな言葉を使うか。
どんな時間を積み重ねるか。
どんな行動を、日々選び続けるか。

それもまた、医療の一部です。

若手ドクターが、
自分自身の価値観と向き合い、
納得した選択をすることを、
心から願っています。

ありせファミリー歯科は、
数ある安心モデルの一つの実例として、
これからも行動で示し続けていきます。

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