神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
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2024.07.08

日本語考察「矢尻(やじり)」【前編】

日本語考察「矢尻(やじり)」【前編】

日本語考察「やじり」

日本語は何万年前から使われているのでしょう?また、何万年もの大昔の日本語は、今とはどのように違っていたのでしょう。

知りたいと思っても、簡単には手がかりは見つかりません。しかし、このような日本語の太古の姿を、現代の日本語に残る痕跡を元にして復元する遊びが、「日本語推理」です。

果たして、そんなかんたんに推理することが可能なのか、と疑問を持つ方も多いと思いますが、現代では、スマホの翻訳アプリを使えば、さまざまな事がかんたんに調べられます。

楽しみながら、古代の日本語の姿を再現することを目標に、今回は、人類の発明した狩猟道具である「ヤジリ」について考えてみます。
世界中で、旧石器時代から使われ出した道具であり、当然、当時の人たちも名前をつけて呼んでいたはずです。
日本では、当たり前のように「矢」の「尻」と呼び習わしていますが、世界中の言葉を調べてみると、どうやら「矢の頭」または「矢のヒント」と呼ばれていることが多いようです。
暇つぶしに翻訳アプリを使って、世界中で「矢尻」がどう呼ばれているのか、調べてみました。




 

日本語では、「矢尻」と言いますが、英語では「アロー ヘッド」、中国語では、「矢頭」と言うようです。
また、スワヒリ語でも「矢の頭」。
イタリア語では、「矢のヒント」、モンゴル語でも「矢のヒント」と言う意味の言葉になるそうです。

ヨーロッパ全体に文化的な影響を及ぼしたラテン語の系譜であるイタリア語と、アジア全土を支配下に置いたモンゴル帝国の使うモンゴル語が、ともに矢尻を「矢のヒント」と表現することには、不思議な縁を感じます。

また、現代の東洋、西洋を代表する英米と中国の言語では「矢頭」と表現し、またアフリカを代表する言語の一つであるスワヒリ語もまた「矢頭」と言う意味の単語を使います。

古代文明を代表する、
アラビア語でも「矢の頭」
ペルシア語では、「矢の上」
カタルーニャ語では「矢のポイント」
ヘブライ語でも「矢の頭」

日本のすぐ隣の韓国語では、日本語と同じ単語「ヤジリ」と発音するようです。

さらに、
インドネシア語では、「矢の目」
トンガ語では、「矢の頭」
ヒンディー語でも「矢のヒント」
キルギス語「矢のヒント」
ネパール語「矢の頭」
チベット語「矢の頭」


となっています。





大昔の旧石器時代に、日本語を使っていた人たちが初めて「矢尻」をみたとき、
誰かに見せてもらったなら、その時に名前も教えてもらって、その名前で呼ぶようになった可能性が高いと思います。

例えば、「オートモービル」が「自動車」になったり、「テレビジョン」が「テレビ」になったりです。


歴史上、人類がはじめてやじりを使い出した痕跡は、考古学研究から、実は日本が最も古いとされています。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎〜
旧石器時代終末期から縄文時代草創期の遺跡とみられる日本の大平山元遺跡から、15,500-16,500年前のものとみられる旧石器時代の特徴を示す石鏃が出ているが、これは今のところ世界で最も古い石鏃とみられている[出典:Wikipedia「石鏃」]


世界中で、「矢の尻」と呼んでいるのが、今のところ私の調査では日本語だけのようです。もしかしたら「矢尻」を発明したかも知れない日本語使用者たちは、なぜ「矢の頭」では無く、「矢の尻」と名付けたのか。
また、なぜ、他の地域の、他の言語を使う民族では「矢の尻」と呼ばれることがないのか。
さらに謎は深まります。


次回のブログでは、「尻」と「頭」で何が違うのか。
なぜ、日本語を使っていた人たちは、「矢頭」ではなくて「矢尻」と言う呼び方を選択したのか。
それについて、さらに深く考察してみたいと思います。

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