神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2024.12.28

【逆・二重構造モデル】

【逆・二重構造モデル】

【逆二重構造モデル】


日本考古学会には、決して疑ってはならない仮説というものが存在します。
それは、かつて東京大学名誉教授を務めた埴原和郎氏が提唱した「二重構造モデル」です。



この「二重構造モデル」とは、日本人の祖先に関する仮説です。もともと1万年以上前から日本に居住していたアイヌや琉球人の祖先である縄文人に対して、2000年前に日本に移住した、ヤマト人の祖先である弥生人が日本中央部を占拠して、現代日本人が作られた。と主張しています。
1991年に発表された理論であり、2025年の現代からは34年前になります。

この30年間で、遺伝子解析の技術が目まぐるしく進歩したことで、この「二重構造モデル」が、実は逆さまだったことが、明らかになりつつあります。

それは、3万5千年前に、日本列島に到達した、ヤマト人の先祖である旧石器時代人が日本にもともと居住していた。そこに、2万年前に、北と南からやってきた日本海対岸(それまで日本海は巨大な湖だった)の人々と出会って、混血してヤマト人と琉球人の祖先となり、のちの縄文人となった。(混血しなかった人たちの子孫は、アイヌ人として北方に暮らし続けた。)

弥生時代が開始したとされる2000年前には、金属器の使用という新たな文化の伝播により、生活スタイルは一変した。多少の異国人の移住はあったものの、人種が交代する規模ではなかった。

これが、最新の研究成果から明らかになりつつある真実です。






ただし、故人となった埴原和郎東大名誉教授の遺産である、「二重構造モデル」を訂正することに関しては、いまだにタブー視されることが多いようです。

日本の公的機関における遺伝子解析の第一人者である斉藤成也教授の著作には、令和の時代に出版されたものですら、冒頭は「二重構造モデル」を賛美する文章から始まります。
また、東大出身の諸先生方の研究論文には、冒頭に「二重構造モデル」を前提に研究を行う旨の宣言が見られます。



「二重構造モデル」に訂正が必要なことが判明した理由は、男系遺伝子型のY遺伝子ハプロタイプの研究成果です。
この研究は、世界規模で協力して行われたため、東大出身の先生たちが無視できないほどの成果を示しました。
Y遺伝子型の研究における日本の第一人者は、京都大学の崎谷満教授です。


崎谷満教授が、初めて研究成果を発表したとき、東大を中心に、日本中からかなり感情的な反論が激しく起こったようです。ただし、その後に徐々に、崎谷教授の研究が正しく理解されていく中で、その著作「DNAでたどる日本人10万年の旅」(2008年発行)は何度も重版され、2018年の時点で、第12刷が出版されています。





「二重構造モデル」は、完全な誤りとは言えません。その時期と順番が違うというだけです。
最初に考えられた、2つの人間集団の合流時期が、2000年前から2万年前にさかのぼったこと。
また、アイヌ人が先で、ヤマト人が後というのが、逆転して、先にヤマト人が住んでいるところに、あとからアイヌ人がやってきた、というのが正しいようです。 

また、35年前の時代背景として、アイヌ人の文化や言語の保存運動が活発化し、アイヌ民族への関心や理解が深まりつつあったことも関係があるかも知れません。埴原教授が、複数の仮説の選択肢が存在する中で、当時の時代背景として、必須の課題とされていた「アイヌ人の文化保全」に協力的な立場の仮説を、あえて設定したと考えることもできるかもしれません。
また、当時はインターネット黎明期であり、中国大陸や朝鮮半島の人たちに対する差別的発言が、徐々に表面化して問題となりつつあった時代でもありました。
本来は、日本人は中国人、朝鮮半島人とは共通の祖先をもつ近縁の人間集団です。
埴原教授は、「二重構造モデル」の中で、あえて、弥生時代人を朝鮮半島人だと銘記することで、日本人と朝鮮半島人、中国大陸人が兄弟関係であり、力を合わせて平和な未来を実現してほしい、という願いを込めて、世に訴えたのではないかと、私は予想しています。

過去の歴史を、次の世代に語るとき、それは未来が平和でありなおかつ繁栄していく願いや祈りの気持ちを伴います。
また、歴史を知ることを喜びに感じる人たちにとって、究極の夢は、歴史から教訓を得て、それを未来の繁栄と平和に役立てることです。

「二重構造モデル」からも、埴原教授の祈りの気持ちを汲み取ることができるのかも知れません。

35年前には、この「二重構造モデル」を検証するための十分な情報はありませんでした。真実かどうかは、結局、後の世であらためて検証する必要のあることは、埴原教授も当然理解されていたはずです。
その時に、仮に修正が行われる場面においては、やはり世界人類はもともと一つの家族であったことを忘れずに、人類全体で、協力しあって豊かで平和な未来を実現する必要があることを、隠されたメッセージとして残して行くことが、埴原教授の真の遺産を受け継ぐという意味になるはずです。








できることなら、埴原教授の後継者となる東京大学系列の研究者たちが、近年の新しい研究成果により、新しい【逆・二重構造モデル】として、自ら修正を行って新しく世の中に広めて行ってほしいと思います。そして、この35年にわたる各学問分野での新しい知見が、より広く認知されるようになってほしいと思います。



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