

2026.01.21

職業人として社会で活躍する場面においては、初心者の段階では、まず全体像をつくることが重要です。
骨組みを組み、肉付けをし、最後に表面を仕上げる。
経験を積み、一通りのことができるようになると、
人のこだわりは自然と細部へ向かっていきます。
そのとき、誰もが一度は立ち止まる分岐点があります。
☆素人にも分かりやすい部分を重点的に磨くのか。
それとも、
☆超一流の達人にしか分からない究極を目指すのか。
これは技術論ではありません。
人生観、哲学、価値観の選択だと思います。
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☆見た目重視という選択肢

見た目を重視するのであれば、
専門業者に依頼することが可能です。
本気になれば、
たとえ経験が浅くても、
短期間で、かなりの結果を出すことができます。
分かりやすく、評価されやすく、
数字にも反映されやすい。
現代社会では、
非常に合理的で、否定されるべき選択ではありません。
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☆中身重視という選択肢
一方で、中身を重視する道はまったく違います。
ある程度の経験が必要で、
しかも、その過程で誰にも相談できない時間が増えていきます。
答え合わせはできません。
評価もすぐには返ってきません。
多くの場合、
一人で考え、一人で試し、
孤独な道のりになります。
そして、中身は短期間では完成しません。
一生をかけて、長い年月を費やして、
ようやく完成に近づくものです。
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⬛︎お鮨屋さんに例えて考えてみます

一通りの技術を身につけた職人が、次に選ぶ工夫には、いくつかの方向性があります。
①さらに美味しいお鮨を作るための工夫
②食事そのものだけでなく、楽しい時間を提供する工夫
③あとから思い出すたびに、幸せな気持ちになれる体験をつくる工夫
④すぐには分からなくても、何年後、何十年後に
「あれは本当にすごいお鮨だった」と気づいてもらえる体験をつくる工夫
そして、もう一つの道があります。
⓪中身には踏み込まず、
SNSやネット口コミの「見栄え」だけを整える工夫
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⬛︎スマホ社会が加速させる「即断」と「評価」
ネット社会、スマホ社会では、
即断即決、五段階評価、点数化、断定、ジャッジメントが好まれます。

スマホ画面のまばゆい光と、
リズミカルな通知音の中で、
人はいつの間にか、表面の印象だけを追いかけるようになります。
しかし、
中身を徹底的に追求することと、
表面の見栄えを徹底的に追求することは、
究極を目指すほど、両立が難しくなります。
どちらか一方に偏ることは、避けられません。
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⬛︎どちらが正しいのか
どちらが正しい、という話ではありません。
世界一のイケメンで中身が平均的な人と、
見た目は平均的でも、中身が世界一働き者の人。
どちらが良いかという問いに、
唯一の正解はありません。
どちらも必要で、どちらも正解です。

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⬛︎それでも、私はどちらを選ぶのか
歯科医師も同じです。
どの道を選ぶかは、各人の自由です。
そのうえで、
私はこう考えています。
私は、中身で勝負したい。
時間がかかり、
孤独で、
完成が見えなくても。
そのために生涯をかけて、究極に近づきたい。
それが、私の歯科医師としての選択であり、哲学です。