神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2020.09.12

「出来るだけ」歯を削らない

「出来るだけ」歯を削らない


「出来るだけ歯を削らない」
虫歯になると、歯がどんどん溶けていきます。
虫歯になった歯には、溶けて柔らかくなった部分が存在します。
そのまま放置すると、虫歯はさらに進行していきます。

虫歯菌ごと、歯の柔らかくなった部分を除去することで、虫歯がそれ以上進行するのを食い止めます。

その際、虫歯の部分と、健康な部分の違いを私たち歯科医師がどうやって判断しているのか、読者の皆さんは不思議に思うかも知れません。


今回は、虫歯の部分(軟化象牙質 なんか ぞうげしつ)と、虫歯になっていない部分(健全歯質 けんぜん ししつ)をどうやって私たち歯科医師が判断するのかをご紹介します。





①エックス線写真による術前診察で予想する

「出来るだけ」歯を削らない

エックス線写真では、柔らかい部分は黒く写ります。患者さまの同意が得られれば、虫歯治療前には、通常エックス線写真を撮影します。
削りはじめる前に、だいたいの虫歯の範囲を予想しておきます。


②実際に削りながら硬さを確認する

歯を削る道具は実は主に2種類あります。
まず、初めに使うのが、キーンと高い音のするエアータービンで、ブレード(刃先)にダイヤモンド粉末を使います。

「出来るだけ」歯を削らない

切削する際に摩擦熱(まさつねつ)で高温が生じるために、必ず冷却水を出しながら使用します。

もう一つの道具は、エンジンでゴロゴロと低い音がします。ブレード(刃先)には、スチールを使います。
硬いものは削れないので、軟化象牙質を取り除くときに使用します。
削る時の振動が私たちの指先に伝わりやすく、削っている部分が柔らかいのか硬いのかが良く分かります。
摩擦熱が高くならない程度の柔らかい部分のみを削る場合には、冷却水を出さずに使用します。

経験の浅い若手の歯医者さんには、まだ指先の感覚だけで判断するのは難しいです。

「出来るだけ」歯を削らない

その場合は、先輩歯科医師のチェックを受けるか、齲蝕検知液という薬品を使う必要があります。

日々、虫歯を確実に取り除く事を徹底して診療に当たれば、通常、臨床経験3から5年でマスターできるはずです。



③齲蝕検知液
不安のある場合は、齲蝕検知液を使うことも検討します。ある程度の熟練した先生はほとんど使われていない印象があります。



以上が、歯医者が虫歯を削る際に、虫歯と健康な部分との区別する方法です。


タイトルにある、
【「出来るだけ」歯を削らない】
は、私たち全ての歯科医師が普段から自分に言い聞かせている事だと言えます。

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