神戸市西区の医療法人 ありせファミリー歯科 院長ブログ
医療法人社団ありせファミリー歯科

2020.09.28

歯の神経を取る『 心配』『不安』

歯の神経を取る『 心配』『不安』

歯科では、「歯の神経を取る」という治療法があります。
聞いただけで大変恐ろしい気持ちになりますね。

なぜ、そんなことをする必要があるのか。
神経を取らない治療法は無いのか。
そう思う人も多いでしょう。

今回は、この「歯の神経を取る治療」についてお話しします。

歯の神経を取る『 心配』『不安』

「歯」が硬いものである、ということは、皆様も当然、ご存知の通りです。
人間の体の中で、最も硬いのが「歯」です。

しかし、「歯」の硬いのは表面側だけで、内部が空洞になっていることは、案外と知らない方も多いと思います。

空洞といっても、空っぽではありません。
その中には、柔らかい神経と、その神経に栄養を送る血管が走行しています。
この神経のことを、「歯髄神経(しずいしんけい)」と言います。
この歯髄神経は、「熱いものと冷たいものによる刺激を、痛みとして感じる」という特徴があります。
12種類ある脳神経(のうしんけい)の中でも最大サイズの三叉(さんさ)神経の一部です。


歯髄神経が冷温刺激に反応する神経であるのに対して、物を噛みしめた時に硬さや柔らかさを感じる神経が別にあります。

この神経は、歯根の表面に存在する歯根膜神経(しこんまくしんけい)と言います。
「歯ざわり」「歯ごたえ」を感じる神経です。
「冷温刺激」を感じる歯髄神経とは別の神経です。

歯の神経(歯髄神経)を取ったあとも、しばらくの間、噛む際の痛みが続くのは、歯根膜神経が炎症を起こすためです。







さて、今回は、「歯の神経を取る」をテーマにお話しします。


【なぜ歯の神経を取るのか】
歯髄に栄養を送る血管が損傷して、修復不可能な場合に、歯の神経を取る治療を行います。
(一部、特殊な場合の例外はあります。)


この説明だけでは、わかったようなわからないような気がする方もたくさんおられると思います。

歯の神経を取る『 心配』『不安』

さらに深く理解していただくために、次の3つの項目に付いて、以下にご説明します。

①歯の神経の血管が損傷する原因は何なの?
②歯の神経の血管が損傷したのを歯医者はどうやって判断しているの?
③歯の神経を取る治療の期間や費用など詳しく知りたい。






【①歯の神経の血管が損傷する原因は何なの?】

一番多いのは、虫歯菌が歯を溶(と)かしながら歯髄神経に侵入した場合です。
その他には、ケガで歯を打撲した場合や、噛む力が強すぎて歯が傷んだ場合です。
歯周病で歯槽骨が溶けて血管が損傷する場合もあります。



歯の神経を取る『 心配』『不安』

【②歯の神経の血管が損傷したのを歯医者はどうやって判断しているの?】

まずは、エックス線写真で予想します。
それ以外には、歯に痛みがあるかどうかを調べます。
痛みの種類ですが、熱いものが激しく染みる場合と、歯にものが触れた時の激痛は、神経が壊死している可能性が高いと判断します。

その他では、歯茎にニキビのような出来物がある場合や、歯の変色などで診断することもあります。





③歯の神経を取る治療の期間や費用など詳しく知りたい,

治りの良い悪いは個人差がありますが、通院終了まで通常5〜8回程度の回数になることが多いです。
治療費は、3割負担の方で、全て保険治療ならトータル1万円から1万5千円程度、毎回2千円程度と考えて良いと思います。
通院は1週間に1〜2回程度で1ヶ月半から2ヶ月程の方が多いですが、治りが悪い場合や、キャンセル率の高い方はさらに時間がかかります。



『実際のケース』
10代半ばのかた、痛みがある
エックス線写真

歯の神経を取る『 心配』『不安』

画面右下の奥歯の根先(こんせん)に黒い部分があります。
この黒い部分は、歯槽骨に病原菌が侵入して膿(ウミ)が溜まっていると予想されます。
完全に歯髄神経が壊死しており、
神経に栄養を送る血管が損傷しており、自然回復は見込めないと判断します。

この場合だと、噛み締めた際の痛みはありますが、熱いものが染みることはありません。
神経が壊死している途中段階では熱いものがひどく染みるのですが、完全に壊死した後には熱いものは全く痛みを感じなくなります。
そのかわり、顎骨内で炎症が始まることで、噛む力で歯の痛みを感じるようになります。


こうなるまで、痛みを全く感じないこともあります。ゆっくり悪くなる時は痛みをあまり感じないことも多いです。
しかし、体力の低下や疲労の蓄積などがきっかけで、激しい痛みがいつ起きてもおかしくない状態です。


もしもこのまま治療しないでいると、
だんだんと骨の溶ける範囲は広がっていきます。
ある一定以上の骨が溶けてしまうと、歯を抜かなくてはならなくなります。

しかし、もしも早い段階で、壊死した神経を取り除く治療を適切に行うことができれば、まだ歯を抜かずに残すことができる可能性は十分あります。




【まとめ】

歯の神経を取る治療をするのは、
歯の神経に栄養を送る血管が損傷して、自然回復の可能性がなくなった場合です。

歯の神経に栄養を送る血管が損傷する原因は、
神経に達する虫歯や、重度の歯周病。
またケガや、異常な咬合力で歯が傷む場合もあります。


診断方法は、主にエックス線写真診断です。
その他には、熱いものがひどく染みる場合、歯にものが接触した際の激痛。
また、歯茎にニキビのような出来物があったり、歯の変色などを参考に判断することもあります。


栄養が送られなくなった歯の神経を治療しないで放置した場合、最悪の場合には、歯を抜くことになるかも知れません。

壊死した歯の神経を取る治療が適切に行われることによって、本来なら抜くことになるような歯を、抜かずに残すことが可能になるケースは多いです。


当ブログでも、症例紹介に実際に行った治療を掲載しています。
もともとDr向けに書いた記事ですので一部わかりにくいかも知れませんが、興味のある方はどうぞご覧ください。
神経を取る治療の中でも特別難しい状態の治療になりますので、
通常よりも長期間の治療期間になっています。
治療後9年経過時のエックス線写真も見ることができます。
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http://arise-dental.com/recruit/blog.php?id=4



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